1月.雪の中の待ち合わせ |
.:*:・'゜☆。.:*:・'゜゜'・:*:.。.:*:゜☆。.:*:・ *':・ カメラのファインダーを覗き込むと、そこには天使がいた。 天使は雪が次々と降り続ける中、公園の時計台を背に立っていた。白い衣に頭から足先まですっぽりと覆われている。 ブレイズ・ダンカンは慌ててシャッターを切った。 否、天使ではない。人間の女性だった。女性は肩を少し動かすとコートに降り積もる雪を落とした。一体、いつからそこに立っていたのだろうか。フードの下の小さな顔は整っていて、薔薇色に染まった頬の他は雪のように白い。カメラをズームしてみたが、濃い茶色の長い睫毛に覆われて目の色はよくわからない。 ふいにブレイズの視界から女性の姿が消えた。ブレイズは驚いてカメラから顔を離した。女性は時計台に寄りかかり膝を抱えて座り込んでいる。 ブレイズは慌てて駆け寄ると、女性に声を掛けた。 女性が顔を上げると大きな瞳の中にブレイズの姿が映る。瞳の色はブレイズの翡翠色の瞳よりも更に濃い緑だ。白いフードが頭から滑り落ち、くるくるとカールしたベリーショートの明るい茶色の髪が現れた。 「ブレイズったら、やっと来たのね!」 ニコラ・ブラウンは本来穏やかな性格で滅多に怒ることはないのだが、怒るとかなり迫力がある。しかも、怒るのはこちらを心配してのこととわかるだけに、全く反論ができない。 怒りを発散させたニコラは、ブレイズの燃えるような赤い髪やカーキ色のオーバーに降り積もった雪を手で払いのけながら聞いた。 「それで、良い写真は撮れたの?」 ブレイズとニコラは手をつなぎ、半時間遅れの温かい昼食を取りに歩いて行った。 ☆。.:*: Fin ☆。.:*: |
by おとなし おっと,Greenery Park 2005/02/14発表,2006/05/15加筆修正
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